自動車向け合わせガラス用中間膜の新製品を発売-2つの機能を新たに開発

1、遮音・遮熱機能と視認性、安全性の向上を同時に実現する「ヘッド・アップ・ディスプレイ用くさび形高機能中間膜」
2、開放的な車内空間を創造する「ルーフ部一体型フロントガラス用中間膜」

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 積水化学工業株式会社(代表取締役社長:大久保尚武、以下当社)の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:松永隆善)は、自動車向け合わせガラス用中間膜の新製品、へッド・アップ・ディスプレイ(以下HUD)用くさび形高機能中間膜「S-LEC® SSF-W(遮音・遮熱中間膜)、SAF-W(遮音中間膜)」並びにルーフ部一体型フロントガラス用中間膜「S-LEC® SDF-C」の販売を、今秋より順次開始します。

1.背景

 合わせガラス用中間膜は、高機能プラスチックスカンパニーで事業展開している車両材料分野の中核製品です。当社は、合わせガラス用中間膜の製造・販売をグローバルに展開しており、高機能中間膜などの豊富な品揃えを有し、自動車向けの市場において世界で42%(2007年度、当社推定)のトップシェアを誇ります。

 近年、自動車は安全性に加え、快適性や環境性能が重要視されつつあります。その状況下、当社は安全性や防犯性といった中間膜の基本性能に加え、遮音・遮熱機能を追求してきましたが、さらに快適性や環境性能などを実現するための開発を進めてきました。

 

2.新製品について

1)
 

HUD用くさび形遮音・遮熱中間膜
「S-LEC® SSF-W※」(S-LEC® Sound and Solar Film - W)

 

HUD用くさび形遮音中間膜
「S-LEC® SAF-W※」(S-LEC® Sound Acoustic Film - W)

 

※S-LEC®は当社中間膜の登録商標です。
  W=Wedge:「くさび」の意味。中間膜の断面を横から見た形状がくさび形であるため。

 
 当社では、独自に培ってきた多層押出技術とナノ分散技術を用いて、断面がくさび形となる特殊形状の製膜を実現することにより、遮音機能及び、遮音・遮熱機能を持つHUD用の中間膜の開発に成功しました。これは、速度計などの運転中に必要な情報をフロントガラスに映し出すことにより、運転時の視線移動と焦点調整を減らし、ドライバーの負担を軽減します。中間膜においてこれらの機能を同時に実現した製品は世界初となります。
 なお、HUD用くさび形高機能中間膜は滋賀水口工場で生産します。

 

 特 徴 

 

①中間膜の基本性能

安全性:ガラス飛散防止で事故時の被害を軽減

 

防犯性:高い耐貫通性で侵入者を防止

 

紫外線遮断性:99%以上の紫外線をカット

②遮音性能

自動車の風切り音、エンジンノイズを低減

③遮熱性能 

中赤外線の透過を抑え、ハンドル表面温度を約10℃低減(SSF-Wのみ)

④電磁波透過性能 

ETC等の通信障害なし

⑤環境性能
 

ボディ軽量化と遮熱効果で、SSF-WはCO2排出量を
最大58kg/台・年削減、SAF-Wは5.5kg/台・年削減

⑥瞬間判読性(新)

フロントガラスに速度計などの情報を映し出すことにより視認性と安全性が向上

 

 

 くさび形中間膜 説明図

HUD用くさび形遮音・遮熱中間膜断面図

HUD用くさび形遮音・遮熱中間膜断面図



 ヘッド・アップ・ディスプレイ イメージ図

ヘッド・アップ・ディスプレィ イメージ図

 

2)
 

ルーフ部一体型フロントガラス用中間膜
「S-LEC® SDF-C※」(S-LEC® Shaded Film - C)

 

※C=Cielo:スペイン語で「空」の意。

 多層押出技術を用いて、天井部からの全長165cmのうち最大で80cmの着色層を持つルーフ部一体型フロントガラス用の中間膜の開発に成功しました。これにより、車内に開放的な空間を創造し、自動車の先進的なデザインをサポートします。
 なお、このルーフ部一体型フロントガラス用中間膜はオランダ工場で生産します。また、今後はさらにこれに遮音機能を付加した製品の生産、発売も計画しています。

 特 徴

 

①中間膜の基本性能

 安全性:ガラス飛散防止で事故時の被害を軽減

 

 防犯性:高い耐貫通性で侵入者を防止

 

 紫外線遮断性:99%以上の紫外線をカット

②快適性(新)
 

最大で長さ80cmの着色層を作ることに成功、天井部まで一体のフロントガラスで開放的な空間を創造し、デザイン性も向上

 

 

車内から見たイメージ図

 

車内から見たイメージ図

ルーフ部一体型フロントガラス イメージ図

ルーフ部一体型フロントガラス イメージ図

 

・・・・・・・・・・・部)

 



《ご参考》
当社の自動車向け中間膜事業について

 当社の中間膜事業は、アジアにおける自動車生産台数の増加や、自動車1台あたりのガラス面積の大型化に対応して生産量が拡大しています。また、日本や欧米での車内快適性向上のニーズにあわせて開発した、遮音膜、遮熱膜、遮音・遮熱膜など高機能中間膜の需要が増えてきています。
 現在、当社の遮音膜は、世界の新車の7台に1台の割合(2007年度、当社推測)で採用されており、順調に拡大しています。また、通常膜においても中国を中心としたアジアでの需要が順調に拡大しています。この状況を受け、約100億円を投資し、滋賀水口工場、中国工場の生産能力を増強することを決定しました。(2008年7月8日発表)
 今後は、高機能中間膜の開発と拡販をより積極的に進めるとともに、自動車産業の成長が続く中国やインドなど、BRICs諸国の生産拠点拡充を視野に入れ、事業の拡大を図ります。
 事業目標として、2010年度におけるグローバルシェア44%を目指します。

中間膜の生産拠点一覧

 

工場名

場所

稼動時期

生産品

製膜

滋賀水口工場

滋賀県甲賀市

1960年

通常膜、遮音膜★、遮熱膜、遮音・遮熱膜★

メキシコ工場

メキシコ・クエルナバカ市

1971年

通常膜

オランダ工場

オランダ・ルールモンド市

1997年

通常膜☆、遮音膜

タイ工場

タイ・ラヨン県

2002年

通常膜

中国工場

中国・江蘇省蘇州市

2004年

通常膜

アメリカ工場

アメリカ・ケンタッキー州

2007年

通常膜、遮音膜

原料

滋賀水口工場

滋賀県甲賀市

1960年

原料(ポリビニルブチラール)

オランダ工場

オランダ・ヘレーン市

2007年

原料(ポリビニルブチラール)

 

★:HUD用も生産
☆:
ルーフ部一体型フロントガラス用も生産