積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史)高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤敬太)は、ウレタン系材料による初の「不燃材料」国土交通大臣認定(※1)を取得しました。
1.概要
今回開発した「不燃性ポリウレタン」は当社の耐火材料事業を担うFP事業推進部(※2)が有する難燃化配合技術を駆使して開発されたものです。一般的な硬質ウレタンフォームは加熱されると一気に燃え広がりますが、今回の開発品は加熱時に発現する特殊な炭化層により酸素と可燃ガスの結びつきを遮断し瞬時に延焼を抑制する構造となっています(下図ご参照)。
また、米国の燃焼性規格であるUL94(※3)の中で最も難燃性が高い5V-Aの基準も社内評価でクリアしており、今後取得に向けて手続きを進める予定です。
従来のウレタンフォームは断熱性や軽量性を特長とし建築分野において採用されてきましたが、一方で燃焼性の高さにより建築現場での小火も問題視されてきました。
今回開発した不燃性ポリウレタンは、定形化された製品だけでなく、吹き付けやコーキングによる施工も可能となるため、建築物の断熱性と安全性を要求される部位への幅広い展開を検討しています。
加えて、様々な型材への注入による異型生産が可能で、また軽量なため、車輌・航空機や燃料電池、電気製品等の難燃・断熱・封止等の用途展開も視野に入れています。
今後は製品実用化に向けた開発に移り、今年中には当材料を使用した最初の製品を上市する予定です。
2.不燃性ポリウレタンの基本特性
|
・国土交通大臣不燃材料認定 NM-3729 |
|
・密度 65kg/m3以下 |
|
・圧縮強度 30N/㎝2以上 |
|
・熱伝導率 0.031W/m・k以下 |
|
・吸水量 1.1g/100 ㎝2以下 |
開発品写真 |
- *こちらから耐火実験の様子を動画でご覧いただけます。
下記どちらかの動画形式からご覧ください。
<ご参考>
※1 国土交通大臣認定不燃性試験 |
||
|
発熱性試験とガス有害性試験の両方に合格しなければならない。発熱性試験では20分間継続して50kWの熱照射を受けても総発熱量が8MJ/㎡であることが要求される。さらに最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/㎡を超えないことや有害な貫通・亀裂がないことも評価条件となる。 |
|
|
|
|
※2 FP事業概要 (FP=Fire Protection の頭文字をとったもの) |
||
|
熱膨張耐火材「フィブロック」を中心とする防耐火材料を展開。 |
|
|
||
|
|
|
※3 UL94 5V-A評価試験 |
||
|
125mm炎による5秒接炎を5回行い、60秒以上燃焼を続けないことや穴が開いていないことを要求される。 |
以上