積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史、以下「当社」)および積水化学グループでは、2013年度までの5年間の環境中期計画「環境トップランナープランSHINKA!」のもと、エコロジーとエコノミーの両立を目指し、環境貢献製品の売上拡大や事業活動により排出されるCO2の削減等環境の取り組みの「SHINKA(進化、深化、新化)」を推進してきました。
今般、全社の新中期経営計画「SHINKA!-Advance 2016」(2014~2016年度)の策定に伴い、環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」(以下「長期ビジョン」)を見直し、住宅から樹脂加工まですべての事業・業務において共通する目指す姿を“生物多様性が保全された地球”とし、取り組んでいくこととしました。
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また、前環境中期計画で残された課題(1.の表)の解決および長期ビジョンの実現を目指し、新環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014~2016年度)を策定しました。
新環境中期計画は長期ビジョン実現のための第一歩(Take-Off)と位置付け、環境貢献製品の売上高比率のさらなる拡大等に取り組みます。
1.前環境中期計画(2009~2013年度)の総括
表 前環境中期計画における実績と残された課題
活動項目 |
目標 |
実績 |
課題 |
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環境貢献製品 |
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売上高比率40%以上(13年度) |
売上高比率42% |
さらなる拡大
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新規認定30件以上(5年間) |
新規認定60件 |
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10%以上削減(13年度。07年度比)(総量:350千t-CO2以下) |
17.4%削減 |
海外、サプライチェーンへの取り組み拡大 |
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25%t/t*2以上削減(07年度比) |
19.6%t/t削減 |
取り組み強化、海外への取り組み拡大 |
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環境貢献活動 |
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全生産事業所で実施 |
全事業所への拡大
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*1)GHG:Green House Gasの頭文字をとったもの。温室効果ガス。 *2)t/t:生産量原単位
【各活動項目の評価】
① 目標達成項目:環境貢献製品、GHG排出量削減、環境貢献活動 |
② 目標未達項目:廃棄物削減 |
【環境貢献製品】
① 総登録製品数 34件(2008年度末)⇒ 87件(2013年度末)(途中7件を登録抹消) |
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【GHG排出量削減】
達成要因:下記をはじめとする各種施策の推進 |
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・社内環境投資促進策制度の運用、ECO-JIT*・エネルギー革新活動の実施 |
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・照明最適化、LED化 |
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*ECO-JIT: |
生産工程のなかでエネルギーのロスを徹底的に見つけだし、生産改善(革新)によってエネルギーコストを削減する活動 |
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【廃棄物削減】
① 未達要因:事業所施策での対応不十分 |
不良ゼロ化活動による効率改善や再生利用への転換、汚泥の乾燥促進等により9.8千t削減 |
② 新しい視点での生産効率向上、再利用の拡大等による取り組み強化が課題 |
【環境負荷低減の取り組み事例】
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【従業員の環境意識向上の取り組み】
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①「SEKISUI環境ウィーク」: |
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「世界こどもエコサミット」の期間と同じ8月1日~7日の1週間(または、6月1日から9月30日までの連続した1週間)において、積水化学グループの全事業所、全従業員が集団もしくは個人で身近なエコ活動を行うイベント。2013年度より開始
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②「“最もエコな人”表彰」: |
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環境意識が高く、その年に最も環境に貢献した活動を行った従業員もしくは小集団を表彰する制度。従業員全員および「世界こどもエコサミット」に参加したこどもたちによる投票で決定。環境活動への関心をさらに高めることを目的に2012年度より開始
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2.長期ビジョンおよび新環境中期計画策定の背景・ポイント
積水化学グループでは、地球規模の環境問題であるGHG排出量の増加や資源の過剰な消費、生態系への負荷の増大等を抑制するため、GHG排出量の削減や資源の再利用(リサイクル、リユース)、廃棄物の削減、化学物質の管理、VOC削減、森林の保全等に取り組み、低炭素化社会や循環型社会の構築への貢献を図ってきました。
長期ビジョンおよび新環境中期計画では、これらすべての環境負荷は地球上の生物多様性に影響を与えるという考え方に基づき、“生物多様性が保全された地球”を目指す姿とし、事業活動等に取り組んでいくこととしました。
この方針のもと、自らの手で作り出せない土地、動植物、鉱物、燃料等の自然由来の資源(=「自然資本」)の利用と、積水化学グループの事業、環境活動によるこれら自然資本へのリターンを統合的に分析するための指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」を新設し、活動全体を評価していきます。
3.新環境中期計画(2014~2016年度)の概要
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【環境貢献製品の市場拡大と創出】
新環境中期計画では、2016年度に環境貢献製品の売上高比率が50%以上になるように、市場拡大と創出を図っていきます。
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環境貢献製品の売上高と売上高比率の推移 |
① 既存の環境貢献製品での施策: |
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太陽光発電システム搭載住宅の拡販や、管路更生システムの機能拡充・事業拡大等を図ります。 |
② 新規環境貢献製品の登録: |
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生物多様性の保全、防災・減災といった新しい環境貢献カテゴリーの新製品・システムを積極的に創出していきます。 |
【GHG排出量削減】
拡大する海外生産活動に対して国内同様の削減を推進していくことが急務であると考え、新環境中期計画では、国内外で同一目標を掲げてGHG排出量削減に取り組んでいきます。
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生産時の温室効果ガス排出量推移 |
増産計画に対して排出総量を2013年度レベルに維持すること、また2013年度より減産となってもGHG排出量が3年間で3%t/t削減する目標設定で推進していきます。
【廃棄物削減】
廃棄物についてもGHG同様、海外で国内同様の削減を推進していくことが急務であり、国内での有効施策を展開し、ゼロエミッション工場拡大を図るなど、国内外同一目標のもと廃棄物発生量削減を推進していきます。
【その他の環境負荷の低減】
『水リスクの把握による事業機会の損失防止』と『水資源管理の強化による生物多様性の保全』を目的に、国内外の全事業所において、操業における水リスクを把握(調査)し、対策を推進していきます。
【事業所緑地の質向上】
「生物多様性が保全された地球」の実現をめざし、地域環境と共生する事業所を目指し、事業所内緑地の質を改善していきます。国内の全事業所にて評価基準「土地利用通信簿®」*で10点以上向上する取り組みを推進していきます。
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*土地利用通信簿®:企業と生物多様性イニシアテイブ(JBIB)が開発したいきもの共生事業所®推進ツールの一つ。事業所の土地利用の生物多様性貢献度を、緑地面積や質、管理体制などについて100点満点で採点する評価シート |
【SEKISUI環境ウィーク】
事業所ごとの取り組み内容を把握し、全員参加可能なプログラムを提案、推進していきます。2016年度には、全事業所・全員参加を目指します。
社長をはじめとする経営幹部が参加するシンボルイベントを海外で継続的に行うことで、従業員の環境意識の向上につなげる活動も推進していきます。
【統合指標】
統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」を用いて、取り組み項目の進捗、達成度を見える化していきます。
算定範囲はサプライチェーン全体におけるCO2およびCO2以外の環境側面(化学物質、水リスク等)を包含しています。自然資本にマイナスの影響を与える負荷データとプラスの影響を与える貢献データとを把握・入力することで自然資本へのリターンにどれだけ貢献できたかを示す指標として算出します。
① 負荷データ例: |
原材料量、燃料電力使用量、水使用量、CO2・VOC・大気汚染物質排出量、水濁物排出量、廃棄物排出量、土地利用、サプライチェーンでのCO2排出量等 |
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② 貢献データ側: |
環境貢献製品による貢献量(CO2排出削減、化学物質影響削減、節水効果など)自然環境の保全に関する活動量・寄付等 |
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2013年度の算出値をベンチマークとして2014年度以降の目標管理を実施していきます。長期ビジョンの最終年度である2030年度には、「自然資本の利用」を「自然資本へのリターン」が上回る状況を目指していきます。
以上