積水化学工業株式会社(代表取締役社長:根岸修史、以下当社)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:髙見浩三)は、地中熱利用システム 「エスロヒート地中熱-水平型」の事業を、10月24日より開始します。
新規に開発した高採熱管により、地中浅層部の熱を効率的に取り出すことで、これまで一般的であった深層部の熱を回収するボアホール型に比べて採熱部の施工コストを約40%削減できます。
1.背景
再生可能エネルギーの一つである地中熱は、省エネルギーやCO2排出量削減に貢献することから、ZEB(ゼロエネルギービル)を目指す省エネ建築物の空調や給湯への利用など導入事例が増加しています(下図)。また、冷房時に排熱を出さず、ヒートアイランド現象を抑制できることから、都市部におけるクリーンエネルギーとしても普及が期待されています。
当社は地下100m程度の深層部用の地中熱利用システム「エスロヒート地中熱-ボアホール型」を2011年から発売し、これまでに80物件以上の実績を蓄積してきました。地下1~10m程度の浅層部を対象とする水平型が加わることで、より現場状況に即したシステムを提案できる体制が整いました。
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地中熱ヒートポンプシステムの年間および累計設置件数(2011年末) |
(出所:パンフレット「地中熱ヒートポンプシステム」環境省 水・大気環境局 土壌環境課 地下水・地盤環境室) |
2.「エスロヒート地中熱-水平型」の特長
採熱部、熱交換部(ヒートポンプ)および熱利用機器(空調、給湯)で構成されます。採熱管内を循環させる熱媒体(水・不凍液)によって、冬場は地中から熱を回収し、夏場は地中に放熱します。
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- 採熱管の特長
材料としての強度・耐久性に優れる高密度ポリエチレン管を採用しています。水道配管などで多くの導入実績がある高密度ポリエチレン管(PE100)の肉厚寸法を最適化し、耐久性を維持しながらも採熱効率を約10%向上(注:地下水の影響がない場合)させるよう最適化しました。電気融着により管本体と継手を一体化することができ、50年以上の長期にわたって接続部から漏水・漏液のない信頼性の高い管路を構築できます。
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- 施工法の特長
浅層部(地下1~10m程度)に水平スパイラル状に高採熱管を敷設します。一般的なボアホール型と比較して、採熱部の施工にかかるイニシャルコスト(材料、掘削・配管敷設費)の約40%削減が可能となります。
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採熱管施工現場の全景 |
採熱管敷設の状況 |
3.事業目標
改正省エネルギー法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の省エネ基準適合義務化が見込まれる非住宅建築物の空調利用などを主な対象とし、設計~材料販売~施工まで幅広い展開で事業の拡大を図り、 「エスロヒート地中熱-水平型」で2016年度に売上高4億円を目指します。
また今後は農業分野など多方面への事業展開を図っていく予定です。
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以上