積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:久保
肇)と愛知県豊田市は、本日、新たな下水熱回収技術の実用化に向けて「ミライ・チャレンジ都市パートナーシップ協定」を締結し、調印式を行いました(ミライ・チャレンジ都市については「1.背景」をご参照ください)。
調印式の模様(於:豊田市役所) |
|
1.背景
本年7月に下水道法が改正され、公共団体が所有する下水道管路内であっても下水熱利用のための装置であれば民間企業による設置が可能となりました。省エネルギーやCO2排出量の削減策として、下水熱利用への期待はますます高まっています。
当カンパニーでは、下水道管路のリニューアル工事と下水熱回収システムの設置工事を同時に行う下水熱利用システム「エスロヒート下水熱-らせん型」の事業を2013年に開始しました。さらにその翌年には、リニューアル工事を必要としない下水道管路を対象とした「エスロヒート下水熱-管底設置型」を発売。それまで大規模な下水処理場・中継ポンプ場にとどまっていた下水熱の利用先を“まちなか”の様々な公共・民間施設へと拡大してきました。
一方、豊田市では、平成21年に政府より「環境モデル都市」として選定されたことを受け、積極的に再生可能エネルギー導入を推進されています。また、エネルギー等の社会的課題を解決し、未来のまちづくりに向けてチャレンジする市民・企業・大学などを支援する「ミライ・チャレンジ都市」に取り組み、新技術等が「ミライのフツー」としていち早く実用化することを目指しています。
2.実証事業について
豊田市の下水処理場に整備するピット(下水や処理水等の貯留槽)内に「ピット型熱交換器」を設置し、貯留水から回収した熱エネルギーを学習施設棟の空調に実利用する際の性能等を検証します。試算の結果、従来設備(空気熱源ヒートポンプ)に比べ、約30%のランニングコストおよびCO2削減効果が期待されます。
また、下水熱を利用する学習施設棟は“ミライ”を担う子供達の環境学習の場として活用されます。
<ピット型熱交換器の特長>
ピット内に貯留した下水や排水から熱回収するため、既存の「エスロヒート下水熱」シリーズを設置できない小口径の下水道管路や下水道管路が敷設されていない地域にも適用できます。
また、採熱効率と防食・耐久性の高い熱回収管(図)を用いたピット型熱交換器の開発により、処理水量が少ない小規模な下水処理場や排水処理施設等からでも効率的に熱回収できるようになります。
<事業概要>
・実施場所 |
:豊田市下水処理場「あすけ水の館」 |
|
(特定環境保全公共下水道足助処理区終末処理場、平成28年度供用開始予定) |
・用 途 |
:学習施設棟の空調 |
・検証内容 |
:省エネルギー性能、維持管理特性等 |
・事業期間 |
:協定締結日から平成29年3月31日まで |
|
(実証開始は平成28年6月からの予定) |
3.今後の取り組み
実証事業の成果を踏まえ、ピット貯留の下水熱利用はもちろんのこと、ビルや地下街等で排水貯留するビルピットや雨水貯留槽など下水以外の貯留水からの熱回収の提案につなげます。当カンパニーでは地中熱利用に関する事業も展開しており、これら既存システムと組み合わせることで、“まちなか”のどこからでも熱利用ができる未来のまちづくりに貢献していきます。
製品情報 関連リンク |
||
|
|
|
|
|
|