積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二、以下「積水化学」)の100%子会社の積水メディカル株式会社(代表取締役社長:田頭 秀雄、以下「積水メディカル」)は、今般、2020年度に売上高1000億円(連結ベース、2014年度比約1.8倍)を目指す5カ年の中期経営戦略「飛躍HIYAKU 2020」(以下「新中計」)を策定しました。
■積水メディカルの中期経営戦略「飛躍 HIYAKU 2020」について
1.背景
積水化学では、積水化学グループ全体の成長をけん引する8つの成長事業(Growing8)のひとつとして「検査薬システム」を位置付けており、積水メディカルを中核として、検査薬システムを含むライフサイエンス(メディカル)分野の事業拡大に注力しています。近年、積極的にM&Aなどの成長施策を実行し、グローバルに業容・事業規模を拡大させてきました。
2.積水メディカルの事業概要
積水メディカルは、検査薬を中心とした「検査事業」、薬物動態試験の受託など製薬企業の研究開発支援を行う「創薬支援事業」、各種医薬品の原薬等の受託製造を行う「医薬事業」の3つの事業を展開しています。
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3.新中計の基本戦略
積水メディカルは、“グローバル一体経営”を基本方針に掲げ、グローバルでの生産・販売・開発、並びに薬事・品質保証体制を確立するとともに、各事業のグローバル連結管理を推進し、2020年度に売上高1000億円を目指します。
その基本方針のもと、「コア事業強化」と「フロンティア拡大」の2つの基本戦略で新中計を推進していきます。
1)コア事業強化
「検査(国内)」、「検査(欧米)」、「医薬」の3つをコア事業に位置付け、収益力強化を図ります。
(1)検査(国内)
積水化学は昨年12月、エーザイ株式会社より検査薬の製造・販売を行うエーディア株式会社の全株式を譲り受けました。エーディアは「がん」領域での検査薬に強みを持っており、エーディアの譲受を機に「がん」を新たに重点領域に位置付け、業容拡大を図ります。
<6つの重点領域と主な製品>
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※POC…Point Of Careの頭文字。現場(診療所等)での迅速な検査・診断のこと。
(2)検査(欧米)
欧米では、米国Sekisui Diagnostics, LLC.を中心に検査事業を展開していますが、下記2点の施策により、収益力強化を図ります。
・構造改革…現在9つの事業拠点を2018年までに集約・最適化予定です。 |
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・大手企業との取引拡大… |
重点領域のひとつである「血液凝固」で、検査薬・検査機器の販売に関し大手企業との提携により拡販を図ります。 |
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(3)医薬事業
現在、積水メディカル岩手工場(八幡平市)にて、各種医薬品の原薬及び中間体の受託製造を行っていますが、医薬事業の強化に向けて、2018年を目途に製造棟の増設を予定しています。
2)フロンティアの拡大
今後市場拡大が期待される「中国・アジア」「欧米」「新事業」を、将来的にメディカル事業の成長をけん引するフロンティアと位置付け、市場開拓、研究開発を強化します。
(1)中国・アジア
現在、中国では、積水医療科技(中国)有限公司(本社:北京、支社:上海他)を拠点として検査事業を展開していますが、近年、急速に需要が拡大していることを受けて、昨年12月、検査薬の製造・販売会社を蘇州に設立しました(下記ご参照)。新会社では、2017年度上期の生産開始を目指しています。これにより、中国での事業展開の加速を図ります。
また、インドや東南アジアの新興国でも経済発展に伴い、市場が拡大していくとみられており、積水化学グループが各地に有する販売拠点も活用し、市場探索を進めていきます。
<中国における新会社設立について> |
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・会社名 |
積水医療科技(蘇州)有限公司 |
・所在地 |
江蘇省蘇州市工業園区杏林街78号新興工業坊6号 |
・設立 |
2015年12月21日 (稼働は2017年度上期予定) |
・規模 |
延床面積4,500㎡ |
・資本金 |
500万US$ ※積水化学100%出資 |
・事業内容 |
臨床検査薬の製造・仕入及び販売、臨床検査機器の仕入れ及び販売 |
(2)欧米
欧米市場に対して、日本で高い競争力を有する検査薬・検査機器の導出を今後も進めていきます。そのために、M&Aなどにより販売網の強化・拡大を図ります。
また、創薬支援事業では米国Sekisui
Xenotech,LLCを拠点として欧米展開をしていますが、インビトロ試験※受託能力増強及び積水メディカル国内拠点との連携強化により事業拡大を図ります。
※インビトロ試験…体外において体内に準じる環境を作り、その環境下で薬物の反応を調べる試験のこと。
(3)新事業
事業領域の拡大を目的とし、グループ内及び事業部間連携を通して下記新規事業の創出に挑戦します。
・創薬支援事業における臨床(ヒト)領域への参入 |
・ペプチド医薬市場への本格的参入 |
・医薬・検査薬向け酵素事業の拡大 |
(ご参考:近年の積水化学グループのメディカル事業の経緯) |
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2006年10月 |
第一製薬株式会社より第一化学薬品株式会社を買収 |
2008年 4月 |
積水化学のメディカル事業部を第一化学薬品株式会社に事業統合し、社名を積水メディカル株式会社に変更 |
2008年 8月 |
米国のインビトロ試験受託機関Xenotech,LLCを買収 |
2009年 4月 |
米国の検査薬事業会社American Diagnostica Inc.を買収 |
2010年 2月 |
積水医療科技(中国)有限公司が発足 |
2011年 2月 |
米国のGenzyme Corporationから検査薬事業を買収し、米国にSekisui Diagnostics, LLC.を設立。英・加・独でも事業開始 |
2012年 4月 |
American Diagnostica Inc.をSekisui Diagnostics, LLC.に統合 |
2015年12月 |
エーザイ株式会社よりエーディア株式会社の全株式を譲受 |
同 |
積水医療科技(蘇州)有限公司を設立 |
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