*SHINKA=進化・深化・新化
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環境経営として2015年度もSHINKAを拡大 |
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「環境貢献製品」登録件数が118件に増加(2015年度末。新規登録15件) |
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中長期を見据えた課題を整理。次期中期始動の準備を開始 |
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下貞二)および積水化学グループでは、2014年度に策定した環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」(以下「長期ビジョン」)において、目指す姿を“生物多様性が保全された地球”としています。
「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」 |
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ビジョン達成のための第一段階として2014年度よりスタートさせた環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014~2016年度)のもと、2015年度も掲げた目標の着実な達成のため、環境貢献を経営の中心に据えてエコロジーとエコノミーを両立させた環境経営の推進を行ってきました。
1.統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」で見た2015年度の成果<1>
ポイント:環境貢献製品による貢献度の蓄積により、前年度比11.9ポイント伸長
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積水化学工業は、2014年度より、企業活動で利用している自然資本による負荷と自然資本にリターンしている貢献価値を経済的価値に換算して定量化する手法※1によって「見える化」を行い、統合指標(SEKISUI環境サステナブルインデックス)を算出しています。
自然資本の利用100に対して2014年度はリターンが64.5でしたが、2015年度は76.4とリターン率が11.9ポイント増加しました。特に「環境貢献製品の市場拡大と創出」の項目の増分が大きく、環境貢献製品による貢献度の蓄積が着実に拡大しています。
また、次図は、自然資本の利用と自然資本へのリターンの2015年度内訳を表していますが、前年度同様、リターンに占める製品による貢献の割合が97%を占めており、当社の環境経営を牽引しています。
2016年度も環境貢献製品の市場拡大と創出をはじめとする環境の取組みを進め、さらなるリターンの拡大を推進していきます。
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※1)統合指標計算はLCIA(ライフサイクルインパクトアセスメント)手法の1つである「LIME2」(東京都市大学の伊坪徳宏教授らによって開発)の考え方のもとに構築された計算システム「MiLCA」((一社)産業環境管理協会提供)を活用。
2.環境貢献製品の拡大と市場創出<2>
ポイント:“エリア貢献”型製品の追加などにより環境貢献製品の登録件数が増加
2015年度から、環境貢献を一義的に考えるのではなく、世界の地域(エリア)に応じて利用方法、自然環境などの貢献度を評価し、普及をリードする製品に対して”エリア貢献“という考え方を導入し、積水化学グループが考える環境貢献製品の定義を整備しました。
この“エリア貢献”の考え方もふまえて、2015年度は海外市場で販売している製品を5件登録しました。
また、全体の環境貢献製品の登録件数は118件※2となりました(2015年度末。新規登録は15件)。
※2)2014年度の登録件数は109件。登録抹消した製品が6件のため
<新規登録の海外市場での環境貢献製品事例> |
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タイ住宅「SCG HEIM」<エリア貢献>タイで生産・販売している高い省エネ性と耐久性を備えた住宅。 |
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欧州向け「雨とい・雨水貯留タンク」<エリア貢献>欧州の住宅、工場、倉庫の雨水集水・排水目的で使用される雨とい。 |
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欧州の鉄道向け「防音レールカバー」欧州の鉄道レールの騒音(転動音)抑制のための防音レールカバー。 |
ドイツでの施工事例 |
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3.積水化学グループが考える重要課題と次期環境中期計画の方向性<3>
2015年11月~12月にフランス・パリでCOP21が開催され、世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することなどを含む「パリ協定」が採択されました。このような最近の環境における社会動向と積水化学グループの現環境中計の進捗をふまえ、「地球温暖化・気候変動」「資源の枯渇」「生態系の劣化」の3分野で今後取り組むべき重要課題を整理し、2017年度以降の次期環境中期計画の方向性をとりまとめました。
<積水化学グループが考える重要課題とその社会的背景> |
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<課題をふまえた積水化学グループの次期環境中期計画の方向性> |
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表中課題箇所の(S)は、社会課題に対する積水化学グループの課題を示す。 |
4.「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014-2016)概要
活動項目 |
中期計画目標(2016年度) |
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環境貢献製品の |
市場拡大 |
売上高比率50%以上 |
創出 |
新規登録件数30件以上(3年間) |
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環境負荷の低減 |
GHG排出量削減 |
総量維持(国内321・海外459千t-CO2) |
エネルギー削減 |
3%t/t 削減(13年度比) |
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廃棄物削減 |
12%t/t以上削減(13年度比) |
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自然環境の保全 |
事業所内 |
緑地評価基準(土地利用通信簿® ※6)で10ポイントアップ(13年度比) |
SEKISUI環境ウィーク |
全事業所・全従業員参加 |
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※6) 土地利用通信簿®: |
事業所の土地利用の生物多様性貢献度を評価するシート。いきもの共生事業所®による企業の用地管理担当者向けの推進ガイドラインに基づいて作成されたもの。 |
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5.「SEKISUI環境サステナブルプランTake-Off」(2014-2016)の進捗状況
環境中期計画の重要実施項目に関して、2015年度実績と2016年度および次期の方向性を下表に記載。
活動項目 |
指標 |
2015 |
2015 |
達成 |
2016 |
施策 |
次期 |
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環境貢献製品 |
市場拡大 |
売上高 |
47% |
44.3% |
× |
50% |
・気候変動対応、グリーンインフラ等高い社会ニーズへの貢献 |
制度の進化と貢献の拡大 |
創出 |
新規登録 |
10件 |
15件 |
○ |
10件 |
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環境負荷の低減 |
GHG排出量削減 |
GHG排出量 |
総量維持 |
△4.5% |
○ |
総量維持 |
・国内外でのECO-JIT活動促進 ・省エネ改善事例の水平展開 |
挑戦的目標を掲げてGHG削減を推進 |
エネルギー 削減 |
エネルギー使用量生産量原単位 |
2%t/t削減(13年度比) |
△2.6% |
○ |
3%t/t削減(13年度比) |
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廃棄物 |
廃棄物 |
8%t/t削減(13年度比) |
+2.9% |
× |
12%t/t削減(13年度比) |
・国内:改善事例の水平展開 |
削減の継続 |
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自然環境の保全 |
緑地の質向上 |
緑地評価基準(土地利用通信簿®) |
6ポイント |
8.0ポイントアップ |
○ |
10ポイントアップ(13年度比) |
・事業所の立地風土に応じた個別提案 |
レベル向上 |
SEKISUI環境ウィーク |
参加者数 |
80% |
67% |
× |
100% |
・活動の事前アナウンスと確認による啓発 |
イベントの |
体制の強化 |
水リスクの把握 |
水リスク |
水リスク |
○ |
水リスク把握と対策立案 |
・モニタ体制の確立 |
生物多様性への配慮 |
統合指標の算出 |
実績での算出完了 |
76.4% |
○ |
管理指標の可能性判断 |
・中長期目標の設定での活用 |
管理指標化 |
6.2015年度実績について
【環境貢献製品の市場拡大と創出】
①実績:売上高比率 44.3%で目標未達成
新登録製品数 15件、総登録件数118件(2016年3月時点)
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②要因:
太陽光発電システム搭載住宅の売上減少
海外でのエリア貢献の考え方導入による海外新規用途での登録が増加。
③今後:
◇国内新規環境貢献製品(用途)の発掘・登録
◇エリア貢献製品の発掘・登録
【GHG排出量/エネルギー使用量削減】
①実績:GHG排出量 4.5%削減で目標達成
エネルギー使用量生産量原単位 2.6%削減で目標達成
②要因:
<GHG排出量>
(+)各種設備見直しによる省エネ推進を実施
(+)海外事業所での大幅削減
③今後:
◇国内外事業所の省エネ活動強化
(見える化、ECO-JIT※7活動強化、照明のLED化 )
◇長期を見据えた大幅削減施策の検討
※7)ECO-JIT(エコジット): |
生産工程のなかでエネルギーのロスを徹底的に見つけだし、生産改善(革新)によってエネルギーコストを削減する活動 |
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【廃棄物削減】
①実績:廃棄物発生量生産量原単位 2.9%増加 で目標未達成
②要因:(-)国内事業再編による生産拠点の再構築
(+)海外事業所での大幅削減
③今後:
◇廃棄物削減手法のグループ内共有化
◇全社連携のリサイクル技術推進
◇海外事業所のゼロエミ活動推進
【事業所内緑地の向上】
①実績:土地利用通信簿®による評価で8ポイントアップで目標達成。11事業所が10ポイントアップ
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巣箱づくり(積水化学工業(株)群馬工場) |
外来種駆除(四国積水工業(株)) |
②要因:キャラバンの実施(調査結果をもとに、事業所に応じた活動内容を提案)
③今後:モデル事業所への支援(ビオトープづくりなど)
:事業所に応じた支援の継続
【SEKISUI 環境ウィーク 2015(第3回)】
①実績:従業員参加率 67%で目標未達成
事業所参加率100%
②要因:個人活動の推奨不十分
③今後:
◇全員参加好事例の水平展開
◇個人活動例の紹介
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2015シンボルイベント: 欧州(ドイツ)で「欧州こどもエコサミット2015」を実施 |
【事業所排水のWET評価】
①実績:国内外生産事業所排水量95%相当の生物多様性への影響調査完了
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各事業所の公共用水域への排水量 |
②詳細:1事業所で循環冷却水の添加剤による影響を確認
③今後:
・排水量98%相当の評価完了(あらたに4事業所の評価実施)
・農業用水の水源に放流している事業所や排水処理施設設置の事業所を対象に据えて実施