積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二、以下当社)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:久保 肇)は大津市、関西電力と共同で、未利用エネルギー活用システム『エスロヒート下水熱(管底設置型)』を用いた下水熱利用実証実験を本日より開始します。
1.背景
下水熱は、都市に豊富に存在し、低炭素化に貢献する未利用エネルギーとして、近年普及拡大が期待されています。平成27年7月の下水道法改正により、下水管内に民間事業者による熱交換器の設置が可能となる規制緩和が行われ、下水熱利用システムの開発が進められてきました。
大津市においても、下水熱利用の普及拡大を図るため、当社では大津市、関西電力とともに共同研究を開始し、下水熱利用の可能性調査や事業スキームのあり方について検討を行っています。
2.実証実験の概要
本実験は、共同研究の一環として、大津市企業局水再生センター内の消毒槽(塩素混和池)において処理される過程の下水の熱エネルギーを汚泥処理棟監視室の空調に利用し、性能評価を実施するものです。
これまでの下水熱利用は、下水道管路からの採熱や、処理場において処理された後の処理水の熱を利用するものでしたが、今回の取り組みは、下水処理場内の消毒槽で処理する過程の下水が安定した量を確保できることに着目し、その有効性を実証する全国で初めての取り組みとなります。また、下水熱採熱量を向上させる仕組みを取り入れ、さらなる熱回収性能向上に向けた検討評価等を行います。
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参考:[共同研究の概要]
名称 |
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大津市内への下水熱利用事業を普及促進するための共同研究 |
研究期間 |
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平成28年4月~平成30年3月末(予定) |
研究主体 |
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大津市、関西電力、積水化学 |
実施内容 |
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①下水熱利用システムの実証事業の実施および性能評価 |
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②事業スキーム策定に向けた課題整理 |
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③大津市内への下水熱利用の可能性の検討 |
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④事業スキームや料金設定等に関する検討 |
〔実証施設における熱回収・利用のイメージ図〕
〔実証実験場所(大津市企業局水再生センター内)〕
消毒槽及び汚泥処理棟 |
消毒槽内に設置した熱回収管 |
〔共同研究実施主体および役割〕
■大津市企業局 |
(代表:大津市公営企業管理者 山本博志) |
■積水化学工業株式会社 |
(代表:取締役専務執行役員 環境・ライフラインカンパニープレジデント 久保肇) |
■関西電力株式会社 |
(代表:取締役社長 岩根茂樹) |
本共同研究における役割 |
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・実験場所の提供や実験場所への下水熱利用システムの建設 <大津市企業局> |
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本共同研究において活用する技術・ノウハウ |
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・下水道事業全般に関する技術・ノウハウ <大津市企業局> |
3.下水熱について
下水温度は外気と比べ、年間を通じて15℃~25℃と安定しており、冬は暖かく、夏は冷たいという特性があります。この下水と気温との差(熱エネルギー)を冷暖房や給湯等に利用することにより通常の空気熱源ヒートポンプシステムと比較して約20~30%の省エネ性とCO2の排出削減効果が期待できます。
4.エスロヒート下水熱について
我が国における下水熱利用は、近年、管路内における熱回収技術が確立されたことから、管路内への民間事業者の熱交換器設置を認める規制緩和が行われるなど、活用が期待されている技術です。当社においても、2013年度からエスロヒート下水熱の販売を開始し、空調利用や給湯利用、融雪利用などにご採用を頂いております。
当社では引き続き未利用エネルギー活用システム「エスロヒート下水熱」を通じて、環境に優しいまちづくりに貢献していきます。
以上