積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二、以下「当社」)の環境・ライフラインカンパニー(プレジデント:久保 肇)は、この度、インフラ老朽化対策に向けた新材料を開発し、「インフラガード™」シリーズとして2017年6月より順次販売を開始します。
「インフラガード™」は、コンクリート構造物、鋼構造物の予防保全、補修、補強それぞれの用途に対応でき、鉄道、道路などのインフラ施設の長寿命化を可能にするプラスチック単体およびプラスチック複合材の製品群です。まず、今年中に3製品を発売し、以降もインフラガードシリーズの製品・技術を拡充し、2022年度に売上高30億円を目指します。
1.背景
昨今、高度成長期に整備された様々な社会インフラの老朽化が進んでいます。また、地震、豪雨などによる災害や事故が近年相次いでおり、インフラ施設を安心・安全に運用でき、長きにわたり供用できるようにする“質の高いメンテナンス(点検、補修)”が求められています。一方、土木分野、建設分野においては人手不足や財源の制約も課題となっており、“短時間で完結するメンテナンス”によるトータルコストの縮減も望まれています。
当社は、今後さらなる成長が予想されるコンクリート構造物、鋼構造物の改修市場に向け、新材料・新工法の開発を全社横断的に進めてきました。
2.「インフラガード™」について
「インフラガード™」とは、橋梁、トンネル、河川施設などインフラ・土木・建築分野に適応する予防、補修、補強材料の新シリーズであり、構造物を長寿命化することに加え、施工現場における仕上がり品質と短時間施工を兼備した新材料・新工法をラインアップしています。
6月から3製品(DLC、CRJ、CF-PPS)を順次販売開始するとともに、今後も品揃えや分野の拡大を継続的に推進していきます。
「インフラガード™」の開発でキーとなる技術は3つあります。
①耐食性に優れた炭素材料の複合
②独自配合のエポキシ樹脂(反応や架橋構造を設計)
③新しい施工方法・施工機材
これらの技術を単独もしくは組み合わせて、特長ある新製品を品揃えしています。
<当初発売のインフラガード3製品について>
1)DLC (DLC = Diamond Like Carbon ダイヤモンドライクカーボン※1)【今秋発売予定】 |
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製 品 |
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高いガスバリア性能を有するDLC膜を表面に配したプラスチックシート |
用 途 |
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・コンクリート構造物の表面保護工、剥落防止工 |
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特 長 |
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・一般的な塗装膜と比べ、5倍以上の酸素遮断性能を持ち、鉄筋コンクリート構造物を保護 |
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際立つ技術 |
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大学との基礎研究、先進ベンチャー企業との共同開発により、バッチ成膜加工でなく、ロール状に巻いたプラスチックシート表面に連続してDLC薄膜を形成することを実現 |
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※1 DLC:ダイヤモンドに類似する特性を持つ硬い炭素膜。切削工具、医療器具、PETボトル内面などの表面膜に使われる。
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【施工模式図】 |
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2)CF-PPS (CF-PPS = Carbon Fiber PrePregSheet :炭素繊維プリプレグシート)【6月発売】 |
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製 品 |
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2方向に配列した炭素繊維基材にエポキシ樹脂を事前含浸したプリプレグシート※2 |
用 途 |
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・鋼構造物(標識、照明など)の防食、補修、補強およびコンクリート構造物の補修、補強 |
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特 長 |
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・水に強く、表面に塗装を施すことで、長期にわたり強度性能を維持 |
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際立つ技術 |
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・独自のエポキシ樹脂配合により、プリプレグシートの冷蔵保存の不要化 |
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※2 プリプレグシート:繊維基材に樹脂をあらかじめ含浸した状態の成型用材料
【劣化部位に簡単に貼付、接着硬化施工】 |
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3)CRJ (CRJ = CRack Joiner)【6月発売】 |
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製 品 |
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湿潤なひび割れへ注入可能な軟質エポキシ樹脂 |
用 途 |
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・コンクリート構造物のひび割れ補修 |
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特 長 |
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・伸びに優れ、補修後に再び、ひび割れが発生するのを抑制 |
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際立つ技術 |
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接着剤を製造・販売する積水フーラー株式会社との共同開発による、湿潤面に施工でき、伸長性に優れるエポキシ樹脂 |
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【注入状態】 |
【注入工法】 高圧易注入できる「軟質」×「湿潤接着」エポキシ |
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3.売上目標
3製品の上市を皮切りに、今後も「インフラガード」シリーズの製品・技術を拡充し、2022年度に売上高30億円を目指します。
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以上