積水化学工業株式会社(社長:髙下貞二、以下「当社」)は、環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプランAccelerate」(2017~2019年度、以下「現環境中計」)の目標達成に向けて当社グループ一丸となって取り組んでいます。
2017年度進捗のポイント
① |
「統合指標」での進捗管理始動。2017年度は84.1%のリターン(前年度7.7ポイント増) |
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すべての企業活動が自然・社会環境に与える負荷と貢献を統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」(=自然資本へのリターン率)としてポイント化して評価 |
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17年度84.1% → 19年度 90% → 30年度 100%と中期計画達成に向けた進捗を確認 |
② |
定義を拡張した「環境貢献製品」での登録を開始。売上高比率50.2%達成。 |
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健康寿命の延長など、新たな貢献の視点をもって、環境貢献製品を24件登録。今後、環境貢献での差別化を意識した製品企画・開発を加速 |
③ |
温室効果ガス削減目標に関してSBTイニシアチブでの認証取得(化学業界として世界初) |
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SBT※1(Scienced Based Targets)として承認された温室効果ガス(以下GHG)の長期削減目標を達成するため、マイルストーンとなる中期目標を着実に達成するための活動を始動 |
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※1)SBT(Science Based Targets):パリ協定の採択を契機として国連グローバルコンパクトをはじめとする共同イニシアチブが提唱。SBTイニシアチブにより、企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策に貢献する科学的に整合した目標(SBT)であることが認定される。 |
これらをはじめ、当社グループは、環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」(下図ご参照、以下「長期ビジョン」)達成に向けて、環境の取り組み全般を“加速”(Accelerate)し、目指す姿“生物多様性が保全された地球”(=SDGsが達成された地球)の実現への貢献を図ります。
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「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」 |
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積水化学グループは、事業活動が自然資本に依存していることを認識しています。 |
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1.環境中計の2017年度進捗概要
現環境中計では、前環境中計に引き続き「環境貢献製品の市場拡大と創出」、「環境負荷の低減」、「自然環境の保全」の3つの活動項目において目標を設定していますが、実効力をあげるための施策を強化して活動を推進しています。
<実効力強化の施策> |
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環境貢献製品の定義拡充に伴ってより多様化した視点での貢献の再認識 |
・ |
環境貢献投資枠(120億円/3年)の設定と活用 |
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GHG削減の中長期目標およびサプライチェーン取組みの社外コミットによる活動の加速(SBT認証) |
・ |
環境人材指標の導入による組織、個人レベルの実効性向上のバックアップ |
2017年度は、自然資本へのリターン率の増加(昨年度から7.7ポイント増)が示すとおり、リターンに寄与する活動の礎を築くことができました。
一方、今後に向けて、次の4つの課題が確認されました。
<今後の課題> |
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・ |
新しい価値創出の視点に立って、環境貢献による差別化を意識した製品企画・開発、市場創出 |
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環境貢献投資を活用した設備更新と再生エネルギー利用を加速させることによるGHG排出量削減 |
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水資源に対する負荷低減のための貢献投資の検討 |
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サプライチェーンとの連携による貢献拡大と負荷低減の促進 |
なお、活動項目ごとの目標と実績、主な課題は次のとおりです。
【活動項目ごとの目標と実績】 |
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表中網掛け部分の項目毎の振り返りと今後の方向性を以下に示します。 |
<統合指標>
× 自然資本へのリターン率は84.1%。目標は未達だが、取組みは着実に進捗。
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注) |
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リターン率の計算は、東京都市大学の伊坪教授らにより開発されたLIME2の考え方に基づいたLCA計算 |
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グラフ中の数字は四捨五入表記のため、合計値と一致していません。 |
自然資本の利用を見ると、サプライチェーン起因が約80%、自然資本のリターンでは、環境貢献製品による貢献がほとんどとの結果でした。
今後、負荷を減らす活動としてサプライチェーンと連携した取組みを推進し、貢献を増やす活動として環境貢献製品の更なる売り上げ拡大と創出に努めていきます。
<長期GHG削減目標のSBT認証取得>
2017年度には、事業全体およびサプライチェーンに対して掲げた中長期目標が、「パリ協定」の「2℃目標」を達成するために科学的に根拠のある意欲的な水準であることを示すため、2018年3月には「SBTイニシアチブ」での認証を申請し、6月に化学業界として世界で初めて承認されました。
【承認された目標】 |
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・SCOPE1+2※2: |
2030年度までに2013年度比で温室効果ガス排出量を26%削減 |
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・SCOPE3※3: |
2030年度までに2016年度比で温室効果ガス排出量を27%削減 |
※2) |
Scope1: |
事業者からの直接排出、製造プロセスにおける燃料の使用等 |
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Scope2: |
エネルギー起源の間接排出、製造プロセスにおける購入電力等 |
※3) |
Scope3: |
その他の間接排出、サプライチェーンでの製造、輸送、お客様での製品の使用、廃棄等 |
SCOPE1とSCOPE2のGHG排出量削減に関しては、以下の図で示すように環境貢献投資での設備改善等に加え、ものづくり革新やエネルギーミックス革新等を推進することで達成していく構想です。
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※4) |
モノづくり革新:生産革新、エネルギー消費量の削減によるCO2削減 |
※5) |
エネルギーミックス革新:エネルギー調達、創エネ、使い方の変更によるCO2削減 |
※6) |
BAU(Business As Usual):通常の経済活動に伴い、増加する排出量 |
SCOPE3に関しては、当社の場合、原材料調達および製品の使用段階での排出量が多いことを確認しています。原材料調達において排出量が大きい理由は化学メーカーとしての事業特性によると認識しており、一方で製品の使用段階での排出量は、販売した住宅で使用されるエネルギー由来のGHG排出が大きいと認識しています。
原材料由来のGHG排出量削減に関しては、新規材料採用時の選定基準を見直すとともに、排出量の大きい原材料である樹脂4品目による削減を推進するため、サプライチェーンを巻き込んだ活動を行い、2016年度比で20%削減していきます。
製品の使用段階でのGHG排出量削減に関しては、販売する住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様比率を向上させていくことで住宅使用時のエネルギー削減に寄与し、2030年度までに2016年度比で50%削減していきます。
<環境貢献製品の定義拡張>
2017年度には、お客様のところで高い環境貢献効果を発揮する製品を社内基準に基づいて登録を行っている積水化学グループの環境貢献製品の定義の拡張を行いました。積水化学グループの製品・事業における業容変化を鑑みて、グループビジョンに立ち戻り、「地球環境の向上」に対する貢献を拡大するだけでなく、「世界のひとびとのくらしの向上」への貢献もさらに加速していくため、まずはあらたな社会環境に貢献するカテゴリーとして「健康寿命の延長」「社会インフラの強靭化と普及促進」「暮らしの安全性と災害耐性強化」へと視点を広げ、貢献を拡大していきます。
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※7)SDGs(Sustainable Development Goals):国連が2015年に提唱。持続可能な社会をつくるために達成が必要な17の目標。 |
<世界こどもエコサミット2017> |
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2017年度は、創立70周年の記念イベントとして「世界こどもエコサミット2017」を日本の関東エリアにて開催しました。積水化学グループ従業員の子供が13ケ国から47名参加し、環境問題に関する認識を深め、当社の環境への取組みに対して提言をもらいました。2017年度は、「次世代の私たちに環境を学ぶことができる教材の提供を!」との提言を受け、社長がグローバルでの次世代環境教育(SDGs教育)のツールを提供することを約束しました。 |
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2.重要実施項目に関する 2017年度業績と今後
<環境貢献製品の市場拡大と創出>
○ |
売上高比率50.2% |
(自然環境:4,716億円、社会環境:843億円) |
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○ |
新規登録件数24件 |
(自然環境:4件、社会環境:20件) |
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主な新規登録製品: |
〔自然環境〕 |
放熱フィン、放熱グリス、KYDEX鉄道グレード 等 |
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〔社会環境〕 |
介護・自律支援設備wells、検査事業(メデイカル)、 |
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インフラガードシリーズ、HUD用くさび形中間膜 等 |
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社会環境貢献も貢献の対象とした定義拡充によって新たな環境貢献視点が加わり、目標が達成できました。今後、環境貢献製品での差別化を意識した製品企画と開発を推進し、市場拡大を目指します。
<環境負荷の低減/GHG排出>
× GHG排出量 ▲1.5% (2013年度BM)
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削減活動により41千t削減しましたが、M&A、生産量増加による増分45千tをカバーできず、目標は未達成となりました。
今後は、電力調達先の選定、再生エネルギーの積極活用等も視野に入れて検討していきます。また、環境貢献投資枠(120億円/3年)におけるCO2排出量の環境投資促進策での申請案件はすでに20千t削減分相当あり、今後の効果発現が期待できます。
【環境投資促進策の申請案件例】 |
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油圧式射出成型機の電動機化・サーボモーター化推進 |
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自家消費大規模ソーラーの導入 |
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水銀灯の全廃を目指し照明のLED化促進 等 |
山梨積水㈱ |
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<環境負荷の低減/水資源>
× 取水量 +3.1%(2016年度BM)
× COD※8 +28%(2016年度BM)
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※8)COD(Chemical Oxygen Demand):化学的酸素要求量。水中の含有物質を酸化するために必要とされる酸素量(酸素消費量)であり、水質の指標の1つ。CODが高いと含有される有機物、無機物の量が多い水であり、水質が悪いと判断される。 |
取水量は、国内は一部事業所での生産量増加、海外は事業所の増加・拡大が起因で増加傾向にあります。COD排出量は、排出量大の事業所で増加(規制値範囲内)傾向です。
今後は、水資源への取組みに関しても環境貢献投資を検討し、取水量大の3事業所、COD量大の4事業所での取組みを強化していきます。
<自然環境の保全/SEKISUI環境ウィーク>
× 従業員参加率84.9%(国内83%、海外95%)
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2012年度開催のこどもエコサミットにて子供達の提言を受けて開始した、全従業員が環境に貢献する活動に参加する「SEKISUI環境ウィーク」は2017年度で5年目になります。 従業員参加率は、84.9%と概ね目標通りの結果でしたが、海外参加率は大きく向上しました。 今後は、100%参加率事業所事例の水平展開や個人活動周知等で意識向上を図ります。 |
以 上