積水化学工業株式会社(代表取締役社長:髙下 貞二、以下「積水化学」)は今般、連結子会社である積水ポリマテック株式会社(代表取締役社長:山﨑 潤、以下「積水ポリマテック」)のEV(電気自動車)等環境対応車向け放熱材料の生産工場をオランダに新設することを決定しました。あわせて、同工場による放熱材料の生産および欧州エリアの放熱材料拡販を担う新会社を設立します。新工場設立を含め、新会社設立にかかる投資額は約16億円の予定です。
なお、今回オランダに設立する新会社は積水ポリマテックの100%子会社となります。新会社登記完了は2018年8月、工場着工は2019年1月、工場の稼働開始は2020年春を予定しています。
1.背景
欧州では、各OEM(車輌メーカー)においてEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリッド自動車)など環境対応車の開発が盛んになっており、これらの車種の2025年度生産台数は17年度の約10倍となる1250万台まで増加する予測も出ています※1。これに伴い、動力源として搭載されるLiB(リチウムイオンバッテリー)の熱対策ニーズが今急速に拡大しています。
積水化学の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤 敬太)では、エレクトロニクス、車輌・輸送、住インフラ材、ライフサイエンスを戦略4分野と位置付け、事業の拡大を図っています。積水化学は2017年8月、車輌・輸送分野の商材拡充及びカーエレクトロニクス領域の事業拡大を目的に、積水ポリマテック(旧社名:ポリマテック・ジャパン株式会社)を稲畑産業株式会社(代表取締役社長:稲畑 勝太郎、以下「稲畑産業」)と共同で買収し、以降、車輌業界でニーズが高まっている同社の放熱材料を特に重要な商材と位置付け、早期のシナジー発現に努めてきました。
積水ポリマテックの放熱材料は、高い熱伝導性能に加え、塗布設備に対する耐摩耗性や製品そのものの低アウトガス等の優れた性能により各OEMやLiBメーカーから高い評価を得ており、環境対応車の市場拡大に伴うさらなる採用拡大を見込んでいます。
これらを背景として、現状の日本・タイの2生産拠点に加え、主要供給先である欧州に新工場を建設して生産能力を増強するとともに、生産・販売・開発・マーケティングの一体運営を行う新会社を設立することとしました。
※1 IHS Markit社「Global Vehicle Production Forecast」より
2.新会社・新工場の概要
・会社名 |
:SEKISUI POLYMATECH EUROPE BV |
・所在地(本社・工場) |
:オランダ リンブルフ州 ルールモンド市※2 |
・資本金 |
:5億円(積水ポリマテック100%出資) |
・会社設立予定時期 |
:2018年8月 |
・工場着工予定時期 |
:2019年1月 |
・工場稼働開始予定時期 |
:2020年春 |
・主な生産品 |
:放熱材料※3 |
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※2 |
積水化学は、オランダのルールモンド市に、合わせガラス用中間膜・架橋ポリオレフィンフォーム・雨とい等の各生産工場を有しており、今回の新工場はこれら既存の工場に近接する保有地に建設する計画です。 |
※3 |
積水ポリマテックではシート状とグリス状(半液状)のそれぞれで放熱材料製品を取り揃えていますが、LiB向けでは、生産ラインの自動化に適したグリス状製品が特に高いニーズとなっており、今回の新工場でもグリス状製品を当面主力商材として生産する予定です。 |
3.事業目標
今回の投資により、積水ポリマテックのグリス状放熱材料の生産能力は約3倍に強化され、同社の放熱材料事業では2022年度に売上高85億円を目指します。
<ご参考>
【積水ポリマテックの概要】
・代表者 |
: |
山﨑 潤 |
・所在地 |
: |
埼玉県さいたま市 |
・出資比率 |
: |
積水化学 91%、稲畑産業 9% |
・事業内容 |
: |
樹脂・ラバー製品の製造および販売 |
・海外展開 |
: |
生産会社 中国、タイ、インドネシア |
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販売会社 中国、タイ、インドネシア、米国 |
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駐在員事務所 シンガポール、ドイツ |
【積水ポリマテックの放熱材料製品】
シートタイプ |
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汎用タイプ:低熱伝導 |
炭素繊維配向:高熱伝導 |
グリスタイプ |
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