2020年4月16日
積水化学工業株式会社
株式会社INCJ
・岩手県久慈市に、実証プラントを新設し、2021年度末に稼働・実証事業(エタノール供給)開始予定
・自治体や民間企業等のパートナー募集を強化し、2025年度に本格事業化を目指す
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太、以下「積水化学」)と、株式会社INCJ(代表取締役社長:勝又幹英、以下「INCJ」)はこの度、積水化学と米国ベンチャー企業LanzaTech(以下、「ランザテック社」)が共同開発した、微生物触媒を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術*1(以下、「BR*2エタノール技術」)の実証事業の実施、および事業展開を行うことを目的として、合弁会社「積水バイオリファイナリー株式会社」(以下「合弁会社」)を設立しました。
*1 積水化学の2017年12月6日付プレスリリース「“ごみ”を“エタノール”に変換する世界初の革新的生産技術を確立」ご参照。
*2 BR…Bio Refineryの頭文字をとったもの。
合弁会社においては、BRエタノール技術の実用化・事業化に向けた最終段階の実証を行うため、まず、岩手県久慈市に実証プラントを新設し、2021年度末に稼働を開始、実証事業を行う予定です。実証プラントでは、標準的な規模のごみ処理施設が処理するごみの1/10程度の量(約20t/日)を既存ごみ処理施設から譲り受けて原料とし、エタノールを生産する予定です。また、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー等のパートナーを広く募るとともに、実証プラントにて生産したエタノールを、本技術に関心をお寄せいただいている多くの業界の企業等に提供し、エタノールを活用する様々な製品・事業の検証を行っていただく予定です。これらの取り組みを経て、BRエタノール技術の本格事業化を目指します。
積水化学、INCJ両社は、合弁会社におけるBRエタノール技術の実証事業等を通じて、社会課題の解決に寄与する究極の資源循環社会システムの創生に貢献していきます。
<合弁会社を通じて目指す将来像>
<想定するBRエタノール技術の事業化および事業展開のスケジュール>
1.背景
日本で排出される可燃性ごみは、実に年間約6,000万トン*3であり、そのエネルギー量はカロリー換算で約200兆kcalにも達します。この量は、国内でプラスチックを生産するために用いられる化石資源(年間約3,000万トン*4、約150兆kcal)と比べて十分に大きい量であるにも関わらず、その再利用は一部に留まり、多くは焼却・埋立処分されているのが実情です。
また、プラスチックは、ひとびとの暮らしの利便性に役立つ様々な製品に活用されており、私たちの生活になくてはならないものとなっています。一方で、海洋プラスチック問題に代表されるように、プラスチックの使用後の扱いが課題となっており、その課題解決のために、使用後の再活用が求められています。
積水化学は、次代に豊かな社会を引き継ぐため、廃プラスチックを含む可燃性ごみを都市油田に変える「ごみの資源化」に取り組み、ランザテック社との共同開発により、可燃性ごみをプラスチック等の原材料になるエタノールに変換する技術を2017年に確立し、その実用化・事業化に向け、環境省委託事業(二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業)等を活用して、パートナーの募集やビジネスモデルの検討を進めてきました。
*3 出典:環境省『廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量実態調査報告書』をもとに当社にて試算
*4 出典:プラスチック循環利用協会『プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況』をもとに当社にて試算
2.積水化学とINCJによる合弁会社設立の趣旨
BRエタノール技術の事業化および事業拡大や、社会への普及の為には、原料となる廃棄物関連の行政を所管する自治体や、民間企業などのパートナーとの強固な連携が欠かせません。
積水化学は、経済産業省が所管する官民ファンドであるINCJの協力を得て、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー、エタノールを利用する企業など、パートナーとの強い協力関係を構築するとともに関連省庁との協議や連携なども円滑に進めることを期待しております。
一方、INCJは、産業や組織の壁を越えて、オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を育成・創出することを基本方針としており、合弁会社への投資は、INCJの基本理念と合致するものと考えています。
また両社は、合弁会社を通じてBRエタノール技術の事業化および事業拡大を進めることで、日本 各地における地方貢献や、カーボンリサイクルを通じたサーキュラーエコノミーの実現により社会課題解決に寄与するとともに、持続可能な社会の創生に貢献することを目指します。
3.合弁会社設立にあたっての両社のコメント
積水化学工業株式会社 代表取締役社長 加藤敬太
当社はESG経営を最重要課題と考え、取り組みの充実と加速を目指しております。その中の重要なテーマである「ごみの資源化」は果たすべき使命であり、果敢に挑戦すべき課題であるとの信念の下、 “ごみ”を資源として使いこなす技術の開発に取り組んでいます。INCJのご支援を得て、多種多様な連携を発展し、社会実装を加速して社会課題解決に貢献していきたいと思います。
株式会社INCJ 代表取締役会長 志賀俊之
本事業は化石資源に依存しないバイオリファイナリー・エコシステムの創出を目指しており、世界的な課題であるCO2削減やプラスチックゴミ問題の解決に寄与すると期待されます。INCJは積水化学と協力し、複数の技術を組み合わせるオープンイノベーションを一層推進することで、「ごみの資源化」技術の事業化に取り組んで参ります。
ご参考
【新設した合弁会社の概要】
社名 |
積水バイオリファイナリー株式会社 |
---|---|
所在地 |
東京都港区虎ノ門2丁目10番4号(積水化学東京本社内) |
代表者 |
代表取締役社長 両祖徹(りょうそ とおる) |
設立年月 |
2020年4月 |
事業内容 |
BRエタノール技術の実証事業の実施、およびBRエタノール技術の事業展開 |
【積水化学工業株式会社の概要】
所在地 |
東京都港区虎ノ門2丁目10番4号(東京本社) |
---|---|
代表者 |
代表取締役社長 加藤敬太 |
設立年月 |
1947年3月 |
事業内容 |
車輌材料・電子材料など高機能樹脂関連製品の製造・販売 上下水道用管工機材、建設関連資材、機能材料の製造・販売 ユニット住宅の製造・販売、およびリフォーム事業 体外診断用医薬品の製造・販売などメディカル事業 など |
【株式会社INCJの概要】
所在地 |
東京都千代田区丸の内1丁目4番1号 |
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代表者 |
代表取締役社長 勝又幹英 |
設立年月 |
2018年9月(株式会社産業革新機構から新設分割) |
事業内容 |
革新性を有する事業に対し出資等を行うことで産業革新を支援 |
【BRエタノール技術について】
積水化学とランザテック社は、ごみ処理施設に収集されたごみを一切分別することなくガス化し、このガスを微生物により、熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する生産技術を2017年に確立しました。大量に存在しながらその工業利用が極めて困難であった“ごみ”を、化石資源に替わる資源として使いこなすことを実現した、革新的な技術です。
<BRエタノール技術の概要>
【別紙】株式会社INCJ 支援決定案件の概要[452 KB]
本件に関するお問い合わせ先
※発表日以降当面、恐れ入りますが、E-mailにてご連絡いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
【報道関係のお客様】
■積水化学工業株式会社
広報部
TEL:03-6748-6467 FAX:03-6748-6547
E-mail:kouhou@sekisui.com
■株式会社INCJ
経営企画室 広報
TEL:03-5218-7202 FAX:03-3213-9479
E-mail:press@j-ic.co.jp
【報道関係以外のお客様】
■積水化学工業株式会社
新事業開発部 BRグループ
TEL:03-6748-6469 FAX:03-6748-6546
E-mail:br-press@sekisui.com