「抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー」の新型コロナウイルスへの不活化効果の持続性を確認

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2021年3月1日
積水化学工業株式会社
積水マテリアルソリューションズ株式会社

  積水化学工業株式会社(社長:加藤 敬太)の100%子会社である積水マテリアルソリューションズ株式会社(本社:東京都中央区、社長:荒尾 隆嗣)は、「抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へのウイルス不活化試験を外部研究機関(公立大学法人奈良県立医科大学*1医学部微生物感染症学講座及び一般社団法人MBTコンソーシアム*2)にて実施し、次の効果を確認しました。

確認された効果

※試験に関する詳細は下記「実施した試験について」をご参照ください。

  ・一定の条件下で抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーを新型コロナウイルスに1分間接触させると、ウイルス感染価が99%以上減少しました。
  ・一定の条件下で抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーを噴霧したフィルムに、噴霧して1か月後に新型コロナウイルスを5分間接触させると、ウイルス感染価が99%以上減少しました。

  これらの結果により、抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーおよびその噴霧フィルムは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を短時間で不活化することが判明しました。また、1カ月静置させた噴霧フィルムで効果があったことから、不活化効果の長期継続が期待できます。

実施した試験について

【効果を確認した抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー成分】

・成分:抗ウイルス加工剤成分、発酵アルコール、イオン交換水

【ウイルス不活化試験(プラーク法による確認)】

1.試験内容


  抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーに対して新型コロナウイルスの不活化効果を調べました。

2.試験方法概要

<実施時期> 2020年9月18日
<実施機関> 公立大学法人奈良県立医科大学医学部微生物感染症学講座
及び一般社団法人MBTコンソーシアム
<供試ウイルス> 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2 分離株)
<試験品> ①抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー
②抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルム
  (噴霧後、乾燥させ1カ月間静置させたもの、50 mm x 50 mm)
<方法> • 試験品①に対しては、新型コロナウイルス試験試料9.0mLにウイルス懸濁液1.0mL を加えたものを接種し、1分間静置しました。
• 試験品②に対しては、新型コロナウイルスを100 μl 接種し、40 mm x 40 mm のフィルムで密着させた状態で5分間静置しました。
• 試験品①のコントロールとしてPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を接触させたものを用いました。
試験品②のコントロールとして抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧なしのフィルムを用いました。
• 反応後、回収液を用いてウイルス感染価をプラーク法にて測定しました。
• それぞれ2 回ずつ実施しました。
  不活化効果は以下のように算出しました。
  不活化効果(Mv)= log(Ct/C0) - log(Nt/N0)= logCt/Nt
   Ct: コントロールt 時間後の感染価  C0: コントロール0 時間後の感染価
   Nt: 試験品t 時間後の感染価     N0: 試験品0 時間後の感染価

  減少率は対数減少値より次の通り算出しました。
  減少率 =(1−1/10 対数減少値)×100%

3.試験結果


  結果を表1~4と図1,2にまとめました(数値は、試験2回の平均値)。抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーを新型コロナウイルスに1分間接触させると、1.23×107PFU/mlから2.00×102PFU/ml(減少率99.998%)へと検出限界以下まで感染価が減少しました(表1,2、図1)。次に抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムに新型コロナウイルスを5分間接触させると、1.45×107PFU/mlから5.25×102PFU/ml(減少率99.994%)まで感染価が減少しました(表3,4、図2)。

表1.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによるウイルス感染価の推移 (PFU/ml)

表1.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによるウイルス感染価の推移
検出下限値:<2.0×102

表2.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによる不活化効果

表2.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによる不活化効果
減少率(%)は小数点第4位以下切り捨て

表3.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによるウイルス感染価の推移 (PFU/ml)

表3.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによるウイルス感染価の推移 (PFU/ml)
検出下限値:<5.0×101

表4.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによる不活化効果

表4.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによる不活化効果
減少率(%)は小数点第4位以下切り捨て

図1.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによるウイルス感染価の推移
図1.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレーによるウイルス感染価の推移

図2.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによるウイルス感染価の推移
図2.抗ウイルス加工剤配合エタノール水溶液スプレー噴霧フィルムによるウイルス感染価の推移

*1 奈良県立医科大学(理事長・学長 細井裕司):昭和20年4月創立、橿原市
*2 MBTコンソーシアム(理事長 細井裕司):医学的知識をすべての産業に投入してイノベーションを起こすMBT(Medicine-Based Town、医学を基礎とするまちづくり)の理念を達成するために設立された一般社団法人で、現在ほぼすべての業種から170社以上が参加している。

本件に関するお問い合わせ

※発表日以降当面、恐れ入りますが、E-mailにてご連絡いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

  【報道関係のお客様】
    積水化学 広報部
    Email: kouhou@sekisui.com
    TEL:03-6748-6467 FAX:03-6748-6547

  【一般のお客様】
    積水マテリアルソリューションズ 新規事業本部 ヘルスケア企画室
    https://www.sekisui-ms.co.jp/から「お問合せ」にお願いいたします。
    TEL: 03-6744-5786 FAX:03-6744-5757