2025年6月30日
積水化学工業株式会社
Ceglu™の特長
①完全化学合成のため、動物由来原料を含まない
②安定性に優れ、室温保存が可能
③細胞接着ポリマーのコーティングにより、培養前の準備作業が不要
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤 敬太、以下:積水化学)は、iPS細胞に代表される幹細胞の培養等を安定的に実現する細胞接着ポリマー(化学合材足場材)Ceglu※をコーティングした培養プレートの販売を、本日(6月30日)より開始します。本製品は細胞培養品質の安定化をもたらし、簡便性や安定性、安全性といった新しい価値を、ラボスケールから製造スケールまで、再生医療に関わる全てのお客様に提供します。
Ceglu™マルチウェルプレート
1.背景
現代の医療は進歩しているものの、依然として希少疾患や高齢化、怪我などの健康課題が存在します。再生医療、特にiPS細胞を用いた治療は、これらの課題を解決する可能性を秘めています。iPS細胞は、患者自身の細胞から作成できるため、拒絶反応のリスクが低く、さまざまな細胞に分化できる特性を持っています。しかし、iPS細胞の培養には細胞接着コーティング材が必要であり、現在のタンパク質コーティング材では均質性や安定性に課題があり、これが再生医療の実用化に向けた障壁となっていました。
2.開発の経緯
Cegluは、これらの課題を解決するために開発された新しいポリマー製品です。開発の背景には、化学合成ポリマーと細胞接着分子を組み合わせることで、従来のタンパク質コーティング材の欠点を克服するという目標がありました。Cegluの開発は、京都大学物質細胞統合システム拠点様や京都大学iPS細胞研究財団様らとの共同研究により進められました。化学合成技術を駆使することで、高い均質性と安定性を実現し、iPS細胞の培養に適した環境を提供します。これにより、Cegluは再生医療の分野での新たな可能性を切り開く製品として期待されています。
3.Ceglu™の概要
CegluはiPS細胞の培養が可能な化学合成ポリマーで、溶液化してさまざまな素材の表面をコーティングできます。タンパク質と比べて高い室温安定性を持ち、コールドチェーンを必要としません。また、動物成分を含まず高い安全性を誇るCegluコーティング溶液とコーティング済みのCegluマルチウェルプレートを提供し、ラボスケールから製造スケールまで一貫した細胞接着プラットフォームを構築することを目指しています。実際の活用事例として、iPS由来心筋細胞への分化や自動培養装置との組み合わせによる細胞品質の再現性向上、不織布やマイクロキャリアへのコーティングによる細胞培養のスケールアップが挙げられます。
4.今後の展開
本製品の販売はグループ会社の積水メディカル株式会社を通じて行います。
製品販売についてのお問い合わせ先は下記の通りです。
<販売に関するお問合せ>
積水メディカル株式会社 創薬支援営業所 製品担当 E-mail:smd-adme@sekisui.com
<技術に関するお問合せ>
積水化学工業株式会社 ライフサイエンス事業開発部 E-mail:support_life@sekisui.com
【ご参考】
※Ceglu™について:Cegluは細胞を意味するCellと、接着剤を意味するGlueをつなげた造語です。Cegluブランドの細胞接着ポリマーは、細胞接着性および貯蔵安定性に優れておりiPS細胞や間葉系間質細胞の培養、分化など、さまざまな用途に適しています。Cegluは化学合成された素材であり、製造過程において動物由来成分を一切使用していません。種々の培養基材にCegluをコーティングすることにより、均質な細胞培養表面環境を実現します。
<本件に関するお問い合わせ先>
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
Email:kouhou@sekisui.com