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グループが融合し
総合力を発揮していく

長期ビジョン「Vision 2030」で掲げた目指す姿に向けて、
中期経営計画「Drive2022」の進捗やESG 基盤強化の取り組み、
融合によるグループ総合力をテーマに座談会を実施しました。

―カンパニーごとの中期経営計画の進捗評価と戦略―「高機能プラスチックスカンパニーを中心に
成長戦略に軸足を移し、事業拡大を目指していく」

清水高機能プラスチックスカンパニーは、サプライチェーンコスト革新を中心とした収益力の向上と、M&A などによる成長戦略の両輪で取り組み、営業利益率、損益分岐点売上高比率などの指標は、ほぼ目標とする水準まで改善してきました。
2030年に向けて成長戦略に軸足を移し、当カンパニーの主戦場である海外で、「モビリティ」「エレクトロニクス」「住インフラ材」の戦略3分野を中心に事業拡大を目指していきます。いずれも成長が期待される市場であり、かつ、私たちの技術が活きる分野であり、さらなる展開を進めていきます。

神𠮷住宅カンパニーは新型コロナウイルスの感染拡大に加え、原材料価格の高騰や部材供給不足などの未曾有のリスク対応に苦しみましたが、住宅事業では「建売・分譲」、その他事業では「まちづくり」など、集中して取り組んだ施策の成果が徐々に上がり始めています。2030年に向けては、セキスイハイムが培った工業化技術を核とした新築住宅事業はもちろんのこと、ハイムの知見とグループのインフラ技術の融合を最大化し総合住宅建設・不動産業へと発展させて、われわれが先頭を切って住社会の課題解決に挑んでいきます。

平居環境・ライフラインカンパニーは、構造改革に注力し不採算事業の撤退や拠点再編の結果、中期経営計画を上回る固定費削減効果が発現しました。
加えて、生産部門での自動化・省力化の推進、DX を活用した営業との物流改革、新たな需要を生み出す製品開発へのシフトなど、各部門における改革を進めてきました。その結果、限界利益率がカンパニー過去最高レベルの水準まで向上し、営業利益率10%が見えてきました。気候変動の影響やインフラの老朽化がより深刻化する2030年に向け、海外でも適用可能なサステナビリティ貢献製品を積極的に展開して、事業の拡大を図っていきます。

上脇メディカル事業は、コロナ禍において迅速にコロナ検査キットを上市し、社会への貢献とともに業績の下支えに貢献しました。2030年に向けては、新規事業の種をきちんと根付かせることが最も重要だと認識しています。そしてメディカルは、独自の技術で存在感のあるライフサイエンス事業を展開し、第4のカンパニーへと成長することをイメージしています。

―ESG 基盤強化が着実に進捗―「当社の持続的な成長が
サステナブルな社会の実現に貢献」

上脇この2年でESG経営の社内浸透は一気に進んだと感じています。トップの強い意志のもと、長期ビジョンの核としてESG経営に取り組んでいくと、社内外に宣言したことが大きかったと思います。

神𠮷当社の進化を支えてくれているのは、従業員の皆さんです。ESG 経営の重要性・必要性について皆が腹落ちし、先進のスマートハウス拡販によって自分たちの商品がカーボンニュートラルの実現に貢献しているという気概で取り組んでくれました。

清水おっしゃる通りです。例えば、再エネなどは収益率とは相反する側面もありますが、それを前提条件として収益率の改善に取り組んでいます。これらの新たなハードルへの取り組みを含め、挑戦するマインドの高まりを感じています。私は就任以来、「覚悟を決めて挑戦し変革を進めよう」と言い続けています。挑戦マインド醸成のため、互いを褒める研修や表彰制度にプロセス改善を評価するチャレンジ賞を設けるなど、新たな取り組みも進めているので、カンパニー全体でさらに高めていきたいですね。

平居皆さんがおっしゃる通り、私たちの製品・事業で社会課題を解決していくんだというESGに対する社内の意識の高まりに加え、最近はお客様の環境意識の高まりから当社のサステナビリティ貢献製品を求める声が強くなっていると感じています。「サステナブルな社会の実現」と「当社の持続的な成長」の両立が着実に進捗していると実感しています。

―社会課題をイノベーションで解決していく―「イノベーションのDNAは受け継がれている」

上脇2050年、私は人類の知恵によりカーボンニュートラル達成の道筋ができた世界になっていると期待しています。それにはこれからの25年で、あらゆる分野において、とてつもないイノベーションを起こさなければなりません。イノベーションの重要性がますます高まっていくわけです。

清水私が考えるイノベーションの方向性は、基幹技術のテクノロジープラットフォームをイノベーションにより磨き上げ、出口を変えていくこと。例えばブチラール樹脂の技術が中間膜や半導体向け製品になり、最近ではライフサイエンス分野でiPS 細胞の培地にまで応用範囲が広がっています。私たちの基幹技術はグローバルで差別化できる技術ですから、この幹を太くしていくことで、世の中を変えていきたいですね。

平居もちろん新製品や新規事業の創出を目指す一方で、私たちには発売から50年以上が経過するようなロングセラー製品が数多くあります。これらの製品は、常に改善・改良を積み重ねたからこそ、支持され続けてきました。当社には諸先輩方から脈々と受け継がれているイノベーションのDNAがあります。このDNAを体現していくことが私たちの成長の源です。

神𠮷これら「新領域開拓」と「持続」それぞれのイノベーションのDNA を体現したのが、「まちづくり事業」です。誕生50周年を迎えた今も時代の最先端を走り続けるハイムと、当社グループの製品・技術を集結した強靭なインフラを融合させ、これまでにない、災害に強いまちを提供しています。この「まちづくり事業」を突破口に事業間シナジーの発現が加速しています。

—明確なテーマを設定し、その実現に向けてグループが融合し総合力を発揮していく—「融合が進めば運命共同体として一体感も高まる」

上脇事業間の融合をさらに加速させるための枠組みをつくり、経営資源を投入しています。またオープンイノベーションの創出拠点として水無瀬イノベーションセンターを設立しました。各カンパニーには多くのアイデアとリソースがありますから、各カンパニーのアイデアとリソースが相互にインスパイアし合うような取り組みを強く進めていきたいと思います。

平居 自社製品や技術を融合し、状況やニーズに合わせて製品をカスタマイズできるということは、当社の強みであると思います。グループ内でコラボレーションするということは、各事業部が製品の本質にまで踏み込んで、より良い製品・サービスを一緒に考えていくことになります。実際、「まちづくり事業」に採用されたことをきっかけに、仕様の改良につながった製品もあります。このように各事業担当者の中だけでは気づかなかったテーマや新しいアイデアの創出につながることもグループ融合の効果と言えますね。

神𠮷この融合をさらに加速させるべく、横断的なプロジェクトを積極的に展開しています。すでにいくつかのプロジェクトで、グループの素晴らしい技術を融合し商品を上市する仕組みができてきています。それを販売するにあたり、私たちが市場から得た情報・課題をフィードバックし、次の商品開発に活かしてもらう取り組みを進めています。融合が進めば、運命共同体として一体感も高まります。そういう意味でも、横断プロジェクトをお互いに仕掛けていきたいですね。

清水おっしゃる通りで、融合は手段であり、ある目的を成し遂げるために融合する必要があるわけです。例えば、「未来のまちづくりを輸出しよう」となれば、そのために必要なマンションは?インフラや情報通信は?とさまざまな絵が描けるわけです。融合すべきテーマを明確に設定することが重要で、そういう意味では私たち4人が果たす役割も大きいと考えています。未来に向けた目的・テーマを明確に設定し、融合を進めていきましょう。

上脇当社は2022年に創立75周年を迎えました。75年もの長きにわたり、諸先輩方が製品・事業を磨き上げてくださったからこそ、今の私たちがあります。私たちの責務は、これから先の100周年に向けて、現在の製品・事業にさらに磨きをかけていく、あるいは新しい製品・事業を生み出していくことです。私たち一人ひとりの手で未来を創っていきましょう。