積水化学工業株式会社(本社所在地:大阪府大阪市、代表取締役社長:髙下 貞二、以下「積水化学」)は3月29日、遺伝子検査機器や試薬などの開発・製造・販売を行うVeredus Laboratories Pte. Ltd.(本社:シンガポール、CEO:Rosemary Tan、以下「VL社」)の発行済み全株式を、Accuron Technologies Limitedなどから取得しました。
記
1.背景
検査薬・検査機器の市場規模は、国内では5,000億円程度で安定的に推移していますが、近年は微増傾向にあります。一方、グローバルでは約6兆円程度の市場とみられており、新興国の経済成長に伴う市場拡大が見込まれています。
積水化学の高機能プラスチックスカンパニー(プレジデント:加藤 敬太)では、戦略分野のひとつに「ライフサイエンス」を位置付け、100%子会社の積水メディカル株式会社(本社所在地:東京都中央区、代表取締役社長:田頭 秀雄、以下「積水メディカル」)を中核として、検査薬や検査機器などの検査事業を中心としたメディカル事業の拡大に注力しています。
積水メディカルでは、2016年度~2020年度の5ヵ年の中期経営計画「飛躍HIYAKU 2020」*1において、「フロンティア拡大」を基本戦略の一つに位置付け、「中国・アジア」など今後市場拡大が期待される地域での市場開拓を図っています。
2.株式取得の理由
VL社の固有の技術や製品、販売チャネルを積水化学グループに取り入れることで、積水化学グループのライフサイエンス分野を、グローバルでプレゼンスのある事業体に成長させることを目指します。具体的には、特に次の2つの効果発現を期待しています。
(1) ASEAN販売拠点および販売支援体制の確立
VL社は、シンガポールを中心に製品を販売しています。今後、同社をASEAN地域の販売拠点として活用し、日本や中国、欧米でプレゼンスのある積水化学グループの検査薬・検査機器製品の、同地域への導出・拡販を図ります。また、その導出・拡販のためには、製品の認証取得など各国の法令・制度への対応や、現地ニーズに合った技術サービスなど、販売支援体制の構築が不可欠であり、長年ASEAN地域で事業を展開してきたVL社の知見を活かし、それらの構築を進めます。
(2) 事業領域の拡大および技術シナジーの創出
積水メディカルは、主力の検査事業において、「生化学/免疫」、「血液凝固」、「糖尿病」、「POC」、「採血管」の5つを重点領域に位置付けています。一方、VL社は、同社独自の検査法による、ジカ熱などの亜熱帯感染症やインフルエンザの遺伝子型判定、結核菌の種別化、薬剤耐性検査、サルモネラ菌や赤痢菌などの食品検査、炭疽菌、天然痘などの生物化学兵器検査など、様々な分野において、病原体を検出する検査機器製品のラインナップを有しています。これらVL社の技術・製品を取り入れ、事業領域拡大および技術シナジーの創出を図ります。
3.異動する子会社(Veredus Laboratories Pte. Ltd.)の概要
| (1) | 名称 | Veredus Laboratories Pte. Ltd. | 
| (2) | 本社所在地 | 83 Science Park Drive #04-02 The Curie Singapore 118258 | 
| (3) | 代表者 | CEO:Rosemary Tan | 
| (4) | 事業内容 | 遺伝子検査機器や試薬などの開発・製造・販売 | 
| (5) | 資本金 | 11,777千シンガポールドル | 
| (6) | 設立 | 2003年6月 | 
| (7) | 主要株主 | Accuron Technologies Limited 51%、STMicroelectonics N.V. 16%他 | 
| (8) | 最近の業績 | 売上高9.7百万シンガポールドル | 
|  |  | 営業利益1.6百万シンガポールドル(2016年度) | 
| (9) | ウェブサイト | 
4.業績への影響
本件の2018年3月期の積水化学の連結業績への影響は軽微です。
<ご参考① 積水メディカルの概要>
| (1) | 名称 | 積水メディカル株式会社 | 
| (2) | 所在地 | 東京都中央区日本橋2-1-3 アーバンネット日本橋二丁目ビル | 
| (3) | 代表者 | 代表取締役社長  田頭 秀雄 | 
| (4) | 事業内容 | 検査事業、医薬事業、薬物動態事業 | 
| (5) | 資本金 | 12億75百万円 | 
| (6) | 設立 | 2008年4月1日 (前身の第一化学薬品株式会社は1947年7月10日設立) | 
| (7) | 株主 | 積水化学工業株式会社100% | 
| (8) | 年商 | 390億円(2017年3月期。積水メディカル単体) | 
| (9) | ウェブサイト | 
<ご参考② 積水化学の近年のライフサイエンス(メディカル)分野での主な施策(M&A等)>
| 2006年 | 10月 | 第一製薬株式会社より第一化学薬品株式会社を買収 | 
| 2008年 |   4月 | 積水化学のメディカル事業部を第一化学薬品株式会社に事業統合し、社名を積水メディカル株式会社に変更 | 
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| 2008年 |   8月 | 米国のインビトロ試験受託機関Xenotech,LLCを買収 | 
| 2009年 |   4月 | 米国の検査薬事業会社American Diagnostica Inc.を買収 | 
| 2011年 |   2月 | 米国のGenzyme Corporationから検査薬事業を買収し、米国にSekisui Diagnostics, LLC.を設立するとともに、英・加・独でも法人新設または子会社株式取得により事業開始 | 
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| 2012年 |   4月 | American Diagnostica Inc.をSekisui Diagnostics, LLC.に統合 | 
| 2015年 | 12月 | エーザイ株式会社よりエーディア株式会社を買収 | 
| 同 |  | 積水医療科技(蘇州)有限公司を設立 | 
| 2017年 |   4月 | 積水メディカル株式会社とエーディア株式会社を会社統合(現 積水メディカル) | 
以 上