フィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を東京都と開始

2022年12月2日
積水化学工業株式会社

  積水化学工業株式会社(代表取締役社長:加藤敬太、以下「当社」)は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の共同研究を東京都と開始することが決まりました。2023年春から森ヶ崎水再生センターにフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置して、発電量のモニタリング、腐食耐久性の確認などを行います。

1.共同研究の背景

  世界全体で気候変動が問題視され、持続可能な社会を作るために再生可能エネルギーの拡大が求められているなかで、シリコン系太陽電池は重量などによる設置場所の制限が課題となっています。フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特長を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは曲面といった、さまざまな場所に設置が可能な次世代太陽電池であり、再生可能エネルギーの普及拡大を加速させ、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献することが期待されています。

フィルム型ペロブスカイト太陽電池
フィルム型ペロブスカイト太陽電池

2.共同研究内容

1)実施場所

  東京都下水道局 森ヶ崎水再生センター(東施設)
  住所: 東京都大田区昭和島2-5-1

2)目的

  下水道施設をはじめとした、大規模建築物などを有する公共施設は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の設置場所として、脱炭素社会の実現に貢献する重要な潜在市場の一つであると考え、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の下水道施設への適用性を検証します。

3)主な実施内容

  2023年春頃までに、処理槽上部にある覆蓋の一部にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置し、発電効率の測定や耐腐食性能などの検証を実施します。

3.役割分担

東京都

総合調整およびペロブスカイト太陽電池の設置場所の提供、技術的助言及び技術評価

当 社

研究計画の策定、ペロブスカイト太陽電池の設置、計測及び分析、下水道施設への適用に向けた研究開発

4. フィルム型ペロブスカイト太陽電池の今後の展開

  当社では、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、業界に先駆けて屋外耐久性10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築しています。さらに、同製造プロセス による発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しています。
  2023年度からは、本件の設置をはじめ、各種用途への設置を通して技術実証と設置・施工方法の確立を進めていきます。並行して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金を活用し、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を進め、2025年の事業化を目指します。

〈ご参考〉

「うめきた(大阪)駅」にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置(2022年8月3日発表)
https://www.sekisui.co.jp/news/2022/1377721_39136.html

  当社グループは、長期ビジョン「Vision 2030」において、「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げ、イノベーションにより「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来につづく安心”を創造していく」ことを宣言し、脱炭素に資する新技術・新事業に取り組んでいます。
  これからも当社グループは、持続可能な社会の実現と当社グループの成長の両立を目指して社会課題解決に貢献し、ステークホルダーの皆様に信頼される企業であり続けるための取り組みを進めていきます。


<本件に関するお問い合わせ先>

      積水化学工業株式会社 広報部
          E-mail:kouhou@sekisui.com