発展への道のり
町を清潔にする運動-清掃革命(ポリペール登場)
積水化学が、1961年から本格販売を開始したプラスチック製分別回収容器「ポリペール」は、日本のゴミ処理問題の解決に画期的な製品となりました。当時、急速な都市化により増大したゴミ処理問題が社会課題となっていた東京都は、持ち運び可能な容器を各戸に備えて定時収集する米ニューヨーク方式のゴミ回収を検討していました。そこで積水化学が、従来の木製やコンクリート製のゴミ箱に替わるものとして、試作品のポリエチレン製の蓋付き容器「ポリペール」を提案、各家庭のゴミをポリペールに入れて戸外に出しておき、ロードパッカーがゴミを回収してまわるという新しいゴミ処理システムの方式が採用されました。あわせて積水化学は、1962年の創立15周年記念キャンペーンとして「街を清潔にする運動」をスタートし、ゴミ問題に関する消費者への提案・啓蒙活動を展開しました。公共性と結びついたこの活動の効果もあり、東京都での爆発的な普及に続き、全国でも同様のゴミ処理システムが浸透していきました。こうした活動は、「事業活動を通じて、社会に貢献する」という社是の実践そのものであり、積水化学の企業イメージを強く印象づけ、現在のCSR活動の起源にもなったといえるでしょう。
日本の製造業として米国に初進出
1963年、積水化学は、米国のペンシルベニア州に発泡ポリスチレンペーパーの製造を行うSEKISUI PLASTICS CORPORATIONを設立しました。同社は、積水化学初の現地生産による海外進出であり、また、日本の製造業の米国進出第1号でもありました。同年、シンガポールにスズ鉱山用水や水道用パイプの製造を行うSEKISUI MALAYSIA CO.,LTD.が設立されるなど、以後、1970年代半ばまで積極的に海外進出を進めていきました。
積水化学を代表するグローバル製品「ソフトロン」と「中間膜」
1968年に、事業化された架橋発泡ポリオレフィン「ソフトロン」。独自開発した画期的な発泡技術により、優れた断熱性や衝撃吸収性を持つソフトロンは、浴室用のスノコなどの家庭用品から自動車用内装材まで幅広い分野に展開され、積水化学の主力製品に成長しました。
また、1960年の滋賀水口工場設立と同時に、合わせガラス用中間膜「エスレックフィルム」の製造が開始されました。1975年頃から、輸出自動車の生産量増加に伴う需要の伸びに対応して、品質向上と独自の生産技術開発に取り組み、1987年には、生産開始から27年目にして安全ガラス装着が国内で法制化され、さらに需要が急増しました。遮熱性、遮音性にも優れた「エスレックフィルム」は建築用の需要も拡がり、時代とともに、その用途も進化していきました。
現在、ソフトロンとエスレックフィルムはともに世界で高いシェアを持つ積水化学を代表するグローバル製品となっています。
1960年3月 | “セキスイハウスA型”の試作が完成、ハウス事業部が発足 |
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1960年8月 | 滋賀栗東工場開設、塩化ビニル管、塩化ビニル建材製品の製造開始 |
1960年8月 | ハウス事業部を分社化し、積水ハウス産業株式会社(現:積水ハウス株式会社)設立 |
1960年11月 | 滋賀水口工場開設、ポリビニルブチラール、中間膜の製造開始 |
1961年5月 | 中央研究所を大阪・水無瀬に開設 |
1961年6月 | 奈良工場で、プラスチック製ゴミ容器「ポリペール」の製造開始 |
1962年3月 | 創立15周年記念キャンペーンとして“町を清潔にする運動”スタート、「ポリペール」による清掃革命が全国的にひろがる |
1962年7月 | 武蔵工場開設、プラスチックテープ、塩化ビニルテープの製造開始 |
1963年1月 | 奈良工場で、国産第1号のFRPプレス成形浴槽「セキスイバス」の製造開始 |
1963年4月 | 米国ペンシルバニア州に発泡ポリスチレンペーパーの製造を行なうSEKISUI PLASTICS CORPORATION設立(日本の製造業では米国進出第1号) |
1964年1月 | 徳山積水工業株式会社を設立、塩化ビニル樹脂の製造開始 |
1965年 | 創立後初めての減収・赤字・無配。1967年に半額減資を実施 |
1967年 | 「セキスイてんと虫まつり」を各地で開催、高品質の家庭用プラスチック製品としてセキスイブランドが定着していった |
1968年3月 | 発泡ポリオレフィン「ソフトロン」事業スタート、浴室用スノコは当時大きな人気を博した |