歴史・沿革  1980年代

多角化の推進

事業分野のさらなる開拓

積水化学のメディカル事業は、1979年、中央研究所内にメディカルプロジェクトを発足させたことに始まります。独自の高分子技術をベースに、医療分野での研究をスタートし、1984年には事業部化され、ラテックス検査薬や真空採血管などが伸長しました。2006年以降、国内外においてM&Aを実施し、2008年、積水化学のメディカル事業の中核会社として積水メディカルが誕生しました。以降、臨床検査薬を中心としたメディカル領域において、グローバル社会に貢献する企業を目指し、さらなる事業の拡大に取り組んでいます。

高度経済成長期から、主に電化製品向けの外装用部品の供給などに取り組んできたIT(エレクトロニクス)分野では、1987年に応用電子研究所(現:R&Dセンター)が開設され、それまでの技術の蓄積をベースに最先端の研究開発の強化に乗り出しました。近年のIT化の進歩に伴い、半導体、液晶関連分野を中心に、微粒子技術、粘接着技術、精密成型技術のコア技術を活かした製品を開発。そのうち、液晶用スペーサー、導電性微粒子、ブチラール樹脂、UVシール剤は、世界のトップシェアを占める製品です。

1980年代前半、IT(エレクトロニクス)やバイオなどの先端産業の発展に伴い、工場・プラント用のパイプ、バルブの需要が急増しました。積水化学は、薬液に対する耐食性や耐熱性、対衝撃性などが求められる工場・プラント向け製品として「エスロンバルブ」「エスロンクリーンパイプ」などを開発しました。現在、管材の総合メーカーとして、工場・プラント分野の配管ラインをトータルサポートしています。

また、戦後40年以上が経過した日本では、都市部などで下水管の老朽化が著しく、多くの道路陥没事故等が発生していました。しかし道路の下に埋め込まれた下水管の工事には、多額の費用に加え、道路交通の規制や廃棄物発生の問題も抱えていました。こうした問題の解決に向けて、積水化学は、1986年、東京都下水道サービス株式会社、足立建設工業株式会社と共同で管路更生工法「SPR工法」を開発しました。SPR工法は、帯状の硬質塩化ビニル樹脂で管の中に更生管を築造し、裏込め材により既設管と一体化させて管路を更生させる工法です。管路の更生は、下水道だけでなく上水道や農業用水路などにも求められ、また、日本だけでなく世界各国の都市に共通する問題です。積水化学は、時代の要請に応じた「SPR工法」の技術・ノウハウをさらに進化させ、管路更生事業のグローバル化を現在まで進めています。

中央研究所(当時)内に発足したメディカル・プロジェクト
中央研究所(当時)内に発足した メディカル・プロジェクト
世界初の「遠心分離不要の真空採血管」
世界初の「遠心分離不要の真空採血管」
プラント管材の製品
プラント管材の製品
管路更生工法「SPR工法」
管路更生工法「SPR工法」
1981年10月 東京・大阪両本社制へ、東京 虎ノ門に東京本社を設置
1982年3月 木質系工業化ユニット住宅「ツーユーホーム」を仙台で発売、1984年から全国展開
1982年4月 群馬工場開設、塩化ビニル管、ユニット住宅外壁パネルの製造開始
1983年12月 米国にSEKISUI AMERICA CORPORATION設立
1985年 世界初の割れないプラスチック製真空採血管「インセパック」の販売開始
1986年 オランダのリブロック・システムズ社から製造技術を導入し、管路更生工法「SPR工法」開発
1987年7月 応用電子研究所(現:R&Dセンター先進技術研究所)開設
1989年10月 新田工場開設(~2007年)